冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
雨上がりは突然に
『ねぇねぇ、なんであやかちゃんのおかあさんは授業参観にきてないの?』
───それはね、彩夏ちゃんのお母さんは娼婦だからよ。夜に仕事をすることが多いから、今は多分お家で寝てるんじゃないかしら。だから来てないのよ。
『ママ、どうしてあやかちゃんとは遊んじゃダメっていうの?』
───それはね、彩夏ちゃんは娼婦の娘だからよ。旦那もいるのに体でお金を稼ぐような母親の元で育った子と遊ぶのは、あなたに悪影響だわ。
そんなこと、ないよ……。わたしのママは頑張ってるんだよ。
体が弱くて入院しているお父さんの代わりに、毎日頑張って働いているんだよ……。それの、なにがイケナイの?
純粋無垢な子供の質問に答える母親の容赦ない言葉がわたしの胸に突き刺さる。
教室の後ろには沢山のお母さんがいるのに、わたしのママだけそこにはいない。
『わたしのママは、悪くないもん……。わたしは、悪影響なんかじゃないもん!!』