冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
沢山の視線を感じる。
嫌なものを見るような、冷たい視線。
こそこそと呟かれるママとわたしの悪口を聞いていると、どうしようもなく悲しくなって、椅子をガタンと倒して立ち上がった。
突然、激しい激情に見舞われた、小学1年生の時のわたし。
怒りと悲しみの感情の渦から抜け出せなくなるような苦しくてつらい感覚の中で、小学生の時のわたしは眠るようにして気を失った。
除け者にされるのが悲しくて、大きな教室の中に自分のお母さんだけがいないというのが苦しくて。
自分が他の子と同じじゃないってことが、どうしようもないくらい寂しかった。
娼婦の娘だから。体を売るような母親の元で育った卑しい娘だから。
そんな理由のせいで、わたしはいつまでもこの孤独から抜け出せないでいた。
つらい過去の記憶は、時が経てば段々と薄れていくものだって、先生は言っていたけど、全然そんなことないじゃない。