冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
暗闇の中。起こした体は信じられないくらい重かった。
「……また、あの頃の夢を見たんだ」
頬に伝う涙を拭って、ベッドの上から自分以外は誰もいない小さくて孤独な部屋を見渡す。
部屋の中は暗くてほとんど何も見えなかったけど、今のわたしにはそれが心地良かった。
ほんのしばらくの間、無の空間で無の時間を過ごす。
真っ暗で、真っ黒で、深い闇に包まれた自分の部屋。
どこまでも光が差すことはなさそうな、希望なき孤独な部屋。
わたしが幼い頃から、ずっとそう。
もうママはわたしの元へと戻ってきてくれないんじゃないかと不安になって、部屋の隅で蹲ってすすり泣いていた小さなわたし。
激しく轟く大きな雷の亀裂音に、耳をふさいだ幼き頃の小さな手。
窓もカーテンもしっかり閉めてあるのに、家の中にまで入ってくる激しい豪雨と容赦ない雷の張り裂けるような音。
………ああ、やだな。