冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
ぐぅ~……!
暗い気持ちのままベッドの上で膝を抱えていたわたしのお腹が、突然すんごい大きな音を立てた。
そう言えば夜ご飯食べるの忘れてたな……。
盛大な音を立てたお腹に手を添えながら、ふとそんなことを思う。
何か食べなきゃ……。
もし飛鳥馬様の御前でお腹が鳴ったりすれば、それこそ気分を害した罪とかで存在ごと消されるんじゃないか。
それはさすがに考え過ぎだと分かっていたけれど、わたしは重い腰を上げてベッドから下りた。
こんな遅い時間に、自分の部屋を出るのは初めてじゃないかと思いながら、部屋の扉に手をかける。
冷蔵庫にまだ何か食べれるものはあったかな……。
今日は伊吹くんを置いて勝手に家に帰ってしまったから、もし外で鉢合わせしてしまったらと思うと怖くて、スーパーに行けてなかったんだ。
ほんと、自分が最低な女過ぎて情けなさを通り越して笑えてくる。