冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


裸足で廊下を歩き、階段を下りて1階のリビングに向かう。


家中のすべての窓やカーテンを閉め切っているせいか、家の中だと言うのに驚くほどに不気味な真っ暗闇に覆われている1階。


……まあ、2階も対して変わらないんだけど。


リビングの扉を開けて、部屋の中へ1歩踏み出し、壁に取り付けられているスイッチをカチッと押す。


途端に明るくなった部屋が暗闇に慣れた目には眩しくて、思わず目をスッと細める。


こじんまりとした小さなリビングには、ご飯を食べる机と、調理をする台所と、食器を片付けている棚と、冷蔵庫くらいしか置かれていない。


我ながら、寂しすぎる家だ。


テレビもソファも置かれていないリビングなんて、もはやリビングじゃない。

だけど、わたしにとってのリビングは、小さい頃から家族が集う団らんの場ではなかった。

リビングに温かみなんて求めていない。


冷蔵庫から昨日作ったカレーの残りを取り出し、お皿に注ぐ。冷凍してあったご飯をそこによそいで、レンジで温める。

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