HONEYHOLIC(3)リゾートシンデレラ~十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました~
「狩野愛良さんか…君は何処のホテルに宿泊するの?」

彼はグイグイと積極的に質問して来る。

「『ヘブンズホテル』です」

「偶然だな…俺もだ…一人?」

「ナンパならお断りします」

「・・・ナンパじゃない。スカウトだ…明日、友人が結婚するんだ…挙式に出席するためのドレスやヘアメイクの費用は俺が払うう…だから、俺の偽恋人として一緒に出席して欲しい。報酬は君の望み通り支払う」

「貴方の恋人・・・?]




「ダメかな?」

彼はサングラスを外して、私の顔を見た。

彼の切れ長の瞳は珍しい目の色をしていた。

「貴方の瞳…」

「この目の色はお爺ちゃん譲りだ。父も同じ目の色をしている。グーズクレーだ」

「へぇー・・・」

瞳の色にも心を奪われたが、顔も彫りが深く端正な顔立ちだった。

愛良の求める漫画のネタになるかもしれない。

「喜んで引き受けます」

「ありがとう…田中さん」
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