HONEYHOLIC(3)リゾートシンデレラ~十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました~
「へぇー…」

栗原さんは軽く咳払いをして、顔の表情筋を引き締めた。

「『営業企画部』の栗原柾貴(クリハラマサキ)です。よろしく。狩野さん」

「よろしくお願いします」

銀縁の眼鏡を掛けた理知的な雰囲気の男性だった。

「栗原さん、何の用だ?」

「これ…この間…出張で不在だった時の戦略会議のレジュメだ」

「ありがとう…言ってくれれば、取りに行ったのに…」

「じゃ…柏原課長・・・失礼します」

栗原さんはそそくさに用事を済ませ、出て行った。


「俺たちもそろそろ朝礼だし…出ようか?」

「はい」

白石さんかどうか聞きそびれてまま朝礼に出た。
< 37 / 177 >

この作品をシェア

pagetop