HONEYHOLIC(3)リゾートシンデレラ~十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました~
私は二次会は断り、駅へと歩き出す。

「狩野さんは二次会行かないのか?」

課長が一人で歩いていた私を追いかけて来た。

「私…音痴なんです…」
「そっか…」


私たちは二人で駅に向かった。

大勢の人たちで行き交う通り。

私は千鳥足で歩くスーツ姿の男性にぶつかってしまった。

「すいません…」

「痛いだろうが…んっ?君…可愛いね…」

男性が急に私を口説きにかかった。

「すまない…俺の連れに何の用だ?」

課長が咄嗟に私の肩を抱き、恋人の振りをした。

「なんだ…男連れか…」

男性は舌打ちして立ち去った。

「大丈夫か?狩野さん」

「はい…大丈夫です」

課長は私の肩から手を離した。でも、私のそばを離れないように歩き、二人で駅のコンコースに入った。

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