HONEYHOLIC（３）リゾートシンデレラ～十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました～

再び、偽恋人になる。

気まずい感じで別れてしまったが、互いに上司と部下として徹した。

「狩野さん…急遽、社長が会議に出席される事になった。すまないが…手伝ってくれないか？」

「分かりました。何をすればいいですか？」

「まずはこのレジュメを一部コピーしてくれ」

私は課長からレジュメを受け取り、コピー機に走った。


＊＊＊＊＊＊＊＊
課長と一緒に上層階の幹部フロアに足を踏み入れた。

広い会議室には幹部クラスの人たちは既に揃い、座っていた。
ひと際目立つ立派なチェアだけが空いていた。

きっとあそこのチェアに若社長の藤堂和己社長が腰を下ろすんだろう。

私の緊張感も高まる。