HONEYHOLIC（３）リゾートシンデレラ～十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました～

「課…長！？」

「もう一度、俺の偽恋人になってくれ」
彼が私に深く頭を下げて来た。

「えぇ～っ！？」

ノマドに集中していた人や話に花を咲かせていた人たちが私の大声で一斉に注目した。

「・・・驚きすぎだ…狩野さん」

「だって…一体何があったんですか？」

「君の存在が父さんの耳に入ったんだ…」

「メディア王に？」

「・・・一度、食事をしてくれるだけでいい…」

「・・・私と貴方は…」

「食事をしてくれるだけいいんだ…お願いできないか？お金は払う…ドレス欲しいなら、今度はレンタルではなく、買う」

彼は必死に私を説得した。

「ダメかな？どうしてもダメなら…愛川先生に頼む」

「愛良はダメよ…忙しいもの」


「じゃ君に頼む・・・」

「これで偽恋人はお終いですか？」

「お終いだ」

「分かりました…では、ドレスを買ってください」

「分かった。ありがとう…恩に切るよ。狩野さん」

私は再び彼の偽恋人を引き受けてしまった。