HONEYHOLIC(3)リゾートシンデレラ~十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました~
「俺の説明不足だった…すまない…」
「樹生お前…愛良さんの尻に敷かれているようだな…」
白石社長は彼と同じグーズグレーの目で面白そうに彼を見て、グラスの赤ワインを煽った。
彼に似て端正な顔立ち。私は白石社長に彼と似ている部分を無意識に探していた。
「君はウチの柾貴の小説の漫画を描いているんだろ?」
「君は漫画家なのか?」
白石社長は驚いた表情を見せた。
「彼女の恋愛漫画は皆、若い女性の心を掴んで人気を博してる。達生さん、知らないんですか?」
「知らなかった…」
「柾貴とは何もないよな…?愛川先生」
「柾貴では彼女に通用しませんよ…社長…浅香大気と言って下さい」
伊集院社長のご子息はあの作家の浅香大気なの!?
そして、伊集院社長の中では、私は愛川寧々だと思われていた。
「実は私・・・」
彼が激しく咳払いをし始める。
このまま、愛川寧々で通せと私に伝えていた。