惚れた弱み


「夏樹。そーいえばお前、この前工藤ちゃんに何したの?」


「え、何の話?」


「ほら、プールでめっちゃ工藤ちゃん怒ってただろ。何したんだ?」


「あー、あれな。」


インターハイ前日。


陸上部所属の矢嶋博隆(やじまひろたか)堀越夏樹(ほりこしなつき)は学校のグラウンドに来て練習に励んでいた。


タオルで汗を拭いながら、建物の陰で休憩している時に、博孝はふと先日遊びに行った屋外プール施設での出来事を思い出した。

遊びに行ったのは、博孝、夏樹そして夏樹の彼女の工藤美桜(くどうみお)と、博孝が密かに思いを寄せる、橋本菜々(はしもとなな)の4人だ。


その日、施設の1つであるスライダーを滑り終わった後、美桜が夏樹にプンプン怒っていたが、原因が分からずじまいになっていた。


「あれは、ちょっと俺が調子に乗って、いたずらしたもんで…」


「いたずら?」


「スライダー滑った後に、美桜が目の前にいたから、とりあえず後ろから抱きついてチチ揉んでみた。」


「…お前、サイテーだな。公共の場で…」

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