惚れた弱み
「先輩!ちょっと隠れさせてくださいっ」
――え!?
今しがた自分が出てきた部室に、菜々がサッと身を隠したのを見届けた後に、サッカー部の部室のドアが開くのを見た。
――そういうことか。
自分もサッと部室に身を隠した。
ドアを閉め、念のため鍵をかける。
ドキドキした。
密室に菜々と2人。意識するなと言う方が難しい。
2人で並んでしゃがんで、サッカー部員が通り過ぎるまで待つ。
すると、ワイワイと話す声が聞こえた。
「まじかー。相良がまさか彼女持ちだったなんてなー。俺も彼女ほしー。」
「中学からの付き合いなんだろ?しかも学年一可愛いって言われてたってまじかよー。」
「あんまり広めないでくださいよ?すぐみんな詮索したがるんですから…」
そんな声が近づいて、そして遠ざかっていった。