肉を斬らせて骨を断つ
なんだ、善人じゃなくて、ただの善行をしたい人間じゃん。
「うん、まあ」
「駅に行くのか?」
「うん、帰るとこ」
「一緒に帰って良いか? 荷物取ってくる」
良い、なんて言ってないのに純玲はぴゅっとどこかへ行ってしまった。
あたしはプリントを鞄にしまう。教授からプリントを預かるくらいには信頼の厚い男なのだろう。
その信頼とは正反対にいる人間だ、あたしは。
純玲が戻るのを待たずに、あたしはすたすたと正門へと歩いた。夏だけど、七時も過ぎればもう暗い。
バイトも無いし、久々に早く眠ろう。