肉を斬らせて骨を断つ
切れた口端にも絆創膏を貼ってくれた。
「何があったんだ?」
「えー? 男に殴られた」
「警察に行こう」
「あーいいの、あたしも悪いし。金集ってたしさ」
母もよく男に殴られていたなと脳裏を過る。
悲しい哉、遺伝か。
彼はあたしの腕を掴んで立たせてくれる。
心配そうな表情がこちらを覗いた。
「何か、出来ることがあるなら、力になる」
どんな善人だよ、と思わず笑った。
あたし、さっきまでムカついてたのに。
どっかで見たことあるな、と思った。
そっか、あの時の善人だ。