肉を斬らせて骨を断つ
その厚意に甘えて、あたしは純玲の車の助手席に乗った。
「一緒にいられるなら、悪く言われてもいい。あれなら、冴の良いところを吹聴していく」
「いや、あの、あたしと一緒にいて頭可笑しくなったって思われそうだから、それは遠慮しとく」
「そうか?」
やりかねない、この男。
病院の駐車場を出て、大通りへ行く。
どうなるんだろう、この先。
あの部屋に居た時と同じ気持ちなのに、不思議と安心と心地よさがある。
車が減速して、通りを歩く人々へ視線を向ける。暑い中、日傘を差す人が多い。
ちら、とその顔が見えた。