肉を斬らせて骨を断つ
純玲に刺さった矢は抜けないままだ。
看病という名目で彼女の家に通っていると、軈て彼女から泊まりの許可が降りた。
時折、昔の話をし合う。
昔の話なので、何がどう変わるわけでもないが、そうすることで足りない何かを、欠けている何かを補うことが出来ていく気がした。
「冴が綺麗だと言ってくれたから、名前はもういい」
「うん。純玲って綺麗な名前」
「両親に紹介したい」
「何を?」
「冴を」
表情が変わる。変なものを見るような目に。
「どう紹介するの? 大学の同期でキャバでバイトしてて親が蒸発した彼女ですって? 一発アウトだから」