肉を斬らせて骨を断つ
学内であたしに声をかけてくる人間は二つに分けられる。
一つは好奇心丸出しな馬鹿。
「伊爪」
名前を呼ばれて足を止める。
「これ、本田教授から。この前配り忘れたプリント」
なんだっけ、ああ、夕顔純玲。
相も変わらず綺麗な顔をしてる。
「ああ、ありがと」
受け取る。そのまま立ち去るかと思えば、留まるので顔を見上げた。
「傷、治って良かったな」
あ、苦手だ。
こういう、憐れんで話しかけてくる奴。
てかあたしだって気付いてたのか、と心の奥が冷める。