嫌われ令嬢が冷酷公爵に嫁ぐ話~幸せになるおまじない~
3 買い物
「……あれ?」
見知らぬ天井だ。
強烈な違和感を覚えたマイアは、ゆっくりと起き上がる。
背中が痛くないし、寒くない。
「そっか、私……」
公爵家に嫁いだことを思い出す。
もう古びた小屋で寝泊まりはしなくてもいいのだと。
ふかふかのベッドで、一度も目覚めることなく熟睡していた。
こんなに寝覚めがいいのはいつ以来だろう。
実感をひしひしと感じていた。
寝ぼけまなこをこすっていると、部屋の扉がノックされる。
入ってきたのはセーレだった。
「はいどうぞ」
「失礼します。おはようございます、マイア様。お目覚めでしたか」
「今起きたところよ。本当に快適なベッドで、ぐっすり眠れたわ」
「それはよかったです」
寝不足のせいで怠かったマイアの身体から、疲れがいくらか取れたように思う。いつも寝起きにかけていたおまじないも、今はもう必要ない。
「今朝は旦那様が朝食を共にするよう仰られていました。
多忙な旦那様ですが、初日くらいは一緒に行動したいとのことです」
「……! す、すぐに準備しないと!」
「マイア様、落ち着いてください。まだ朝食まで一時間もありますから」
慌ただしいマイアを制止し、セーレは彼女の身支度に取りかかる。
髪梳きからドレスの用意まで、使用人のセーレが担当する。
マイアを鏡台の前に座らせると、彼女は困惑したように声を上げた。
見知らぬ天井だ。
強烈な違和感を覚えたマイアは、ゆっくりと起き上がる。
背中が痛くないし、寒くない。
「そっか、私……」
公爵家に嫁いだことを思い出す。
もう古びた小屋で寝泊まりはしなくてもいいのだと。
ふかふかのベッドで、一度も目覚めることなく熟睡していた。
こんなに寝覚めがいいのはいつ以来だろう。
実感をひしひしと感じていた。
寝ぼけまなこをこすっていると、部屋の扉がノックされる。
入ってきたのはセーレだった。
「はいどうぞ」
「失礼します。おはようございます、マイア様。お目覚めでしたか」
「今起きたところよ。本当に快適なベッドで、ぐっすり眠れたわ」
「それはよかったです」
寝不足のせいで怠かったマイアの身体から、疲れがいくらか取れたように思う。いつも寝起きにかけていたおまじないも、今はもう必要ない。
「今朝は旦那様が朝食を共にするよう仰られていました。
多忙な旦那様ですが、初日くらいは一緒に行動したいとのことです」
「……! す、すぐに準備しないと!」
「マイア様、落ち着いてください。まだ朝食まで一時間もありますから」
慌ただしいマイアを制止し、セーレは彼女の身支度に取りかかる。
髪梳きからドレスの用意まで、使用人のセーレが担当する。
マイアを鏡台の前に座らせると、彼女は困惑したように声を上げた。