嫌われ令嬢が冷酷公爵に嫁ぐ話~幸せになるおまじない~
 セーレは周囲を見渡すマイアに問いかける。

「マイア様は何色がお好みで?」
「そうね……青とか、白とか?」
「素晴らしいセンスをお持ちですね。たしかによく似合うかと思います。ジョシュア様のイメージカラーである黄色や緑色の宝石をつけるとなると、青がいいでしょうか」

 この後は宝石も買うことになっている。
 それを考えると、あまり高い物を買うのはよくないのでは?

「ええ。じゃ、じゃあ青にしましょう。……あんまり高くないやつで」

 ……などと、庶民的な感覚が抜けきっていないマイア。
 そんな彼女にセーレは苦笑いする。

「お代はすべて旦那様が負担なさってくださいます。
 妻が上等な服を着ていなければ、かえって旦那様への失礼にあたってしまいますよ? ここは高い買い物をいたしましょう!」
「それもそうね……じゃあセーレ、これとかどう?」

 マイアは見た目が気に入った青いドレスを手に取る。
 特に華美な装飾はないが、手触りで上等な布地だとわかる。
 ところどころに入った金の刺繍が印象的だ。

 いつしか傍に立っていた店員が話しかけてくる。

「さすがお客様はお目が高い!
 こちら、流行の最先端のドレスとなっております。なかなか手に入らない逸品でして……ぜひともおすすめいたします。
 お客様にもとてもお似合いになるかと」

 そこまで言われると、マイアも着てみたくなる。
 何より意匠が好みだ。
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