嫌われ令嬢が冷酷公爵に嫁ぐ話~幸せになるおまじない~
「そうだな。妻をくれた恩返しをしなければな」
「ええ。契りを結ばれたのですから、ハベリア家をお支えになってあげてください。その方が我ら商人も助かります!」
「ああ。今度の王城で開かれる夜会が終わったら、折を見て送らせてもらおう」
支度金を送るつもりは毛頭ない。
しかし、マイアが受けた仕打ちに対して「恩」を返すつもりはあった。
ジョシュアが冷める一方、デナリスは安堵していた。
これでハベリア伯爵からの命令を遂行できると。
「それでは、わたくしは失礼いたします。閣下の益々のご活躍をお祈りします」
「去る前に、ひとつ。デナリス商人よ。俺は受けた恩を返し、受けた仇も返す。……万が一、君に連なる者が無礼を働けば、相応の罰を受けてもらうぞ」
「い、いえいえ……間違いなく今回の商談は、閣下のためになるものです! ご安心を!」
ジョシュアはマイアの件について言及したのだが、デナリスは商談についての警告だと思ったらしい。冷酷な視線を受けたデナリスは後退る。
「し、失礼いたします!」
冷や汗をかきながら退室するデナリス。
彼を見送ったアランは愉快そうに笑う。
「ジョシュア様も意地が悪いですね」
「意地が悪いのはあの商人だろう?」
「まあ、そうですけど……例の心にもない罵倒をマイア様が聞いたら、どう思われるでしょうかね?」
「そ、それは……あれは建前だ。まさか聞かれてないよな?」
ジョシュアは珍しく焦り顔になる。
そんな主人を眺めつつ、アランは頷いた。
「マイア様はぐっすりお休みです。ジョシュア様も早くお休みになられますよう」
「ああ。さて……今後、どうするか」
窓から去って行くデナリスの馬車を見下ろし、ジョシュアは思案した。
「ええ。契りを結ばれたのですから、ハベリア家をお支えになってあげてください。その方が我ら商人も助かります!」
「ああ。今度の王城で開かれる夜会が終わったら、折を見て送らせてもらおう」
支度金を送るつもりは毛頭ない。
しかし、マイアが受けた仕打ちに対して「恩」を返すつもりはあった。
ジョシュアが冷める一方、デナリスは安堵していた。
これでハベリア伯爵からの命令を遂行できると。
「それでは、わたくしは失礼いたします。閣下の益々のご活躍をお祈りします」
「去る前に、ひとつ。デナリス商人よ。俺は受けた恩を返し、受けた仇も返す。……万が一、君に連なる者が無礼を働けば、相応の罰を受けてもらうぞ」
「い、いえいえ……間違いなく今回の商談は、閣下のためになるものです! ご安心を!」
ジョシュアはマイアの件について言及したのだが、デナリスは商談についての警告だと思ったらしい。冷酷な視線を受けたデナリスは後退る。
「し、失礼いたします!」
冷や汗をかきながら退室するデナリス。
彼を見送ったアランは愉快そうに笑う。
「ジョシュア様も意地が悪いですね」
「意地が悪いのはあの商人だろう?」
「まあ、そうですけど……例の心にもない罵倒をマイア様が聞いたら、どう思われるでしょうかね?」
「そ、それは……あれは建前だ。まさか聞かれてないよな?」
ジョシュアは珍しく焦り顔になる。
そんな主人を眺めつつ、アランは頷いた。
「マイア様はぐっすりお休みです。ジョシュア様も早くお休みになられますよう」
「ああ。さて……今後、どうするか」
窓から去って行くデナリスの馬車を見下ろし、ジョシュアは思案した。