モナコから出られない!
突然言われた言葉に私の口から「えっ?」と思わず声が出てしまう。どういうこと?何も怪しいものなんて一つも持ってないのに……。

「ど、どうしてですか?」

「あなたを出国させないように命令が出ています」

「命令?」

「はい。そうです」

一体何が起こっているのか、理解が追いつかない。周りからの視線が突き刺さる。突然のことに手の指先が冷たくなっていき、呼吸が荒くなっていく。その時だった。

「あっ、いたいた!」

明るい声が響いた。この声を私は知ってる。真っ青な顔で振り返ると、そこには笑顔のルイさんがいた。

「引き止めてくれてありがとう」

ルイさんは税関職員の人にお礼を言い、私の腰をまるで恋人みたいに抱き寄せる。戸惑った私はルイさんに「どういうことですか?」と訊ねるものの、ルイさんはニコニコと笑うだけだ。

「次期国王の命令ですからね。当然です」

税関職員の人が言った言葉に私は驚く。えっ?どういうこと?ルイさんがモナコの次期国王?
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