モナコから出られない!
「ねえ、よかったら明日も僕にモナコを案内させてくれないかな?」

「えっ?いいんですか?」

迷惑なのでは、と言いかけた私の言葉を遮るようにルイさんは言う。

「僕が絶対案内したいんだ。帰国する日までずっと……」

手を割れ物に触れるかのように優しく撫でられて、真剣な目でそう言われたら断れない。

「では、お言葉に甘えて」

「たっぷり甘えてね」

カフェを出た後はホテルへと送って貰い、明日の待ち合わせ時間などを確認した。初めての海外旅行一日目、運命とも言える出会いに胸がギュッと締め付けられている。

(明日はどんな一日になるんだろう……)

そう思いながら私はベッドへとダイブした。



旅行二日目は、大きなクジラの骨が出迎えてくれるモナコ海洋博物館を案内してもらった。三日目は浜辺で何もしない贅沢を楽しむ。ルイさんのおかげで、あっという間に時間は過ぎて行った。

三日目の夜、レストランで夕食を食べながら何気ない会話を楽しむ。夢みたいな時間だったなぁ……。
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