極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
仕事の進め方、文書の作り方、他者との連携、トラブルのリカバリ力、すべてにおいて彼は誰よりも秀でていて、的確なアドバイスをくれる。

私は彼をとても尊敬している。

「……本当に、祇堂さんは立派な方ですね」

思わずぽつりと本音が漏れた。

私もこれくらい優秀だったなら、今すぐにでも会社の役に立てるのに。

自身の不甲斐なさを思い知り、少しだけ落ち込む。

もっともっと勉強して、経験を積んで、スキルを磨かなければ人は救えない。やる気だけはあるのに、体が追いつかないのが悔しい。

漏れ出た本音は彼の耳までは届かなかったらしく、彼は「ん?」と首を傾げた。

「……いえ。本当に大丈夫ですから、お気になさらず」

私はにっこりと笑って応じる。

考えようによっては貴重な体験ができた。女性から壁ドンされるなんて、きっとこの先、もう一生経験できないだろう。

「桃野さんは未熟な私に指導してくださったんです。感謝しなくては」

「本気でそう思ってる?」

祇堂さんが眉をひそめる。

「いいか? もしまた絡まれるようなことがあったら、すぐに俺を呼ぶこと」

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