極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
教授はわざわざここまで足を運んで、処置してくれたようだ。

「来てくださってありがとうございました」

「下手な治療で悪化させられては困るからね。君は私の大切な患者だから」

伏見教授はこの病の解明に生涯を費やすと言ってくれている。

研究に人生をかけるようなストイックな人だ。私と彼は一蓮托生と言っても過言ではない。

「せっかく治してもらったのに、また体調を崩してしまってすみませんでした」

「これはこれでいいデータが取れた。倒れたときの状況をあとで詳しく聞かせてもらうよ。まずは眠りなさい。まだ熱が高い」

はい、と答えて瞼を閉じたものの、眠れそうにない。私は目を瞑ったまま「教授」と再び呼びかけた。

「また働けるようになるでしょうか」

「なんとも言えないな。過去の例を出すなら、昔の君はこの状態から退院するまでに数年かかっている」

一、二週間休んで復職――とはいかないようだ。

年単位で休職はさすがに難しい。治る保証もない。病を隠していた負い目もある。

私はもう会社には戻れないだろう。

「この体で一般企業に就職するのは無理だったのでしょうか」

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