極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
そうすれば、もう少し作りやすいメニューを提案したと思う。

「なんでもいいって言うのが目に見えてたから。あるいは、手軽なものを選ぶとか」

翔琉さんが困ったように笑って身を屈め、顔の距離を近づけてくる。

「俺の幸せは、星奈を笑顔にすること。わがままをたくさん聞いてあげたいんだ」

とんでもなく健気な台詞を吐いて、私の額にキスをする。

……これが恋人同士のやりとりなの?

こんなにも甘くて贅沢な時間がこの世に存在するなんて予想もしていなかった。

心が蕩けて彼以外なにも考えられなくなってしまいそう。これが永遠に続けばいいとまで思ってしまう。

「そう言ってもらえるだけで、私は幸せでたまりません」

健康な生活が一番大事だと思っていた。

でも今は不謹慎にも、愛する人と一緒にいられるなら家の中から出られなくても幸せなのではないかと、そんなふうに思ってしまった。

……ううん、頼りすぎちゃだめ。彼のためにも元気になって、迷惑をかけないようにしなくちゃ。

瞼を閉じて甘えた思考を振り払ったとき、穏やかな声が降ってきた。

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