極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
続く言葉を制して、私は手のひらを自身の胸に当てた。

「私のせいで翔琉さんが思いっきり働けないんだとしたら、苦しむのは私だと思ってください」

同じ言い回しでお返しすると、彼は目もとを歪めて苦々しく笑った。

「わかったよ。俺は俺のペースを崩さない。君も自分のペースを守って、無理はしないで。ただひとつ――」

テーブルの向こうからこちらに向かって手を伸ばしてくる。答えるように手を取り、指を絡めた。

「どうしてもつらいときは傍にいるから。必ず甘えて」

柔らかな囁き声、手のひらから伝わってくる熱。頬がふんわりと熱を帯び、口角が勝手に持ち上がった。

「はい」

この言葉だけでどんな苦難も乗り越えられる気がする。

昔の私は自分のために病と闘っていた。

でも今は私だけじゃない、彼のためにも精一杯闘おうと思う。

私の病状はストレスの影響を強く受けると伏見教授が言っていたけれど、反対に言えば、幸せいっぱいなら不調も収まるんじゃない? と、これは私の勝手な推論だけど。

愛のパワーで病なんて蹴散らせる気がする。彼と一緒にいると、そんな自信が湧いてくる。

やっぱり今、私はすごく幸せだ。

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