極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
出社の時間が来て、玄関で彼を見送った。途端に家中がしんと静まり返り、寂しさが押し寄せてくる。
予期せず子どもの頃を思い出した。ひとりきりの病室。窓の外で世界は動いているのに、私だけなぜか置いてけぼり。
私も外の世界に連れていってほしかった。
――置いていかないで――
いつのことだかわからない悲痛な叫び声が、頭の中でフラッシュバックする。
「だめね、こんなに鬱鬱としていたら。治るものも治らなくなっちゃう」
休むのも仕事、そう自分に言い聞かせながら、リビングに戻ってソファにごろんと横になる。
窓の外には青空が広がっていて、ソファの上からでも遠くにある高層ビルの頭がひょこひょこと突き出て見える。
「ここから見えるだけでも、たくさんの人が生活している……」
大勢の人がそれぞれ悩みを抱えて生きているのだろう。
そう思えば、私の悩みはちっぽけなものなのかもしれない。
「いつか私も、あの中で……」
世界の一部となって生きていきたい。
できることなら、彼の隣で。
普通に生きられればそれだけで満足だったはずなのに、どんどん欲深くなっていく自分が怖いくらいだ。
予期せず子どもの頃を思い出した。ひとりきりの病室。窓の外で世界は動いているのに、私だけなぜか置いてけぼり。
私も外の世界に連れていってほしかった。
――置いていかないで――
いつのことだかわからない悲痛な叫び声が、頭の中でフラッシュバックする。
「だめね、こんなに鬱鬱としていたら。治るものも治らなくなっちゃう」
休むのも仕事、そう自分に言い聞かせながら、リビングに戻ってソファにごろんと横になる。
窓の外には青空が広がっていて、ソファの上からでも遠くにある高層ビルの頭がひょこひょこと突き出て見える。
「ここから見えるだけでも、たくさんの人が生活している……」
大勢の人がそれぞれ悩みを抱えて生きているのだろう。
そう思えば、私の悩みはちっぽけなものなのかもしれない。
「いつか私も、あの中で……」
世界の一部となって生きていきたい。
できることなら、彼の隣で。
普通に生きられればそれだけで満足だったはずなのに、どんどん欲深くなっていく自分が怖いくらいだ。