極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
顔立ちも整ってはいるがあどけなく、メイクもナチュラルなため、これから社会人という割にはどこか頼りない印象があった。

だがそんな彼女が立ち上がり、目を輝かせ、堂々と演説する姿は面接官の間でも伝説となっている。

このマーガレット製薬で取り扱う希少疾病用医薬品を独自に一覧化し、流通実態と今後の展開を予想して見せた、あのプレゼンは見事だった。

一学生が足で集めた情報だ、精度という意味でいえば完璧には程遠かった。

だが見どころがあった。病院を一ケ所一ケ所、己の足で尋ね歩き、情報を集めるという泥臭さも評価に値した。

なにより、やる気に満ち溢れた彼女に、面接官は満場一致で採用を決めた。

「難病で苦しむ患者を救いたい、だったよな。彼女の夢は、延いては俺の夢でもある」

「気持ちはわかりますが……いいんですか? まったく関係のない部署から、なんの功績も上げていない人材を引き抜くなんて異例ですよ」

「彼女は使えるよ。俺のお墨付きだ」

この一年、彼女を見守り続けてきた。

仕事に対しての熱意はもちろん、教えに対する飲み込みも早い。応用力もある。

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