極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「それに星奈さんはとてもかわいらしい人ですから。単純に傍にいたい。隣にいると元気をもらえるんです。病かどうかは、正直関係ない。どんな彼女であれ、私はパートナーに選んでいたと思います」

ふわりと彼が笑う。

真っ直ぐな笑顔と言葉は、きっと嘘偽りのない本音だろう。

母は感極まって、口もとにあったハンカチを目の上に当てた。

「星奈が、こんな素晴らしい方と一緒になれるなんて、どんなに感謝をしたらいいか」

翔琉さんは姿勢を正し「こちらこそ」と頭を下げた。

「星奈さんを産んでくださってありがとうございます」

母はハッとしたように顔を上げ、今度こそ嗚咽を漏らし、ハンカチに顔を埋めた。

「ごめんなさい。星奈をこんな体に産んでしまって、申し訳ないとばかり思っていたから。まさか感謝される日が来るなんて、夢にも思わなくて……」

母の葛藤が胸に突き刺さり、ずきんと痛む。母からはこれまで何度も『ごめんね』『もっと元気な体に産んであげられたらよかった』と言われてきた。

私がこんな体になって、一番責任を感じていたのは母だ。

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