極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
顔を上げると、狡猾な目が私を見下ろしてた。

これは全部彼の計算? 私を手放さないための?

「翔琉さんったら、ずるい」

「でも星奈だって俺のこと嫌いじゃないよね?」

「……嫌いどころか。好きですよ。大好きです。でも、それも知っててずるい」

思わずこちらまでふふっと笑い出してしまった。

どこまでも彼は賢くて、優しくて、ちょっぴりあざとくて、格好いい。

「星奈が元気になったら、とびきり素敵なプロポーズ用意するから待ってて」

そう言って私の頬にキスを落とす。

びっくりして血圧が上がりすぎないように心しておかなきゃ。彼の胸にもたれながら、幸せをかみしめた。



週明けの月曜日。私はコンシェルジュにタクシーを手配してもらい、先月入院した南里病院に向かった。

退院して約一カ月ぶりの通院。伏見教授は自身が身を置く大学病院からわざわざ診察に来てくれた。

血液検査の数値は良好で、引き続き安静を続けるようにとの指示だ。

まだまだ油断は禁物だが、この状態が長く続けば、以前と近い生活に戻れるという。

職場復帰――までは遠いとしても、自宅で家事なら問題なさそうだ。

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