極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚～余命０年の君を、生涯愛し抜く～

ただひとつ、体力だけが心配だが、その分のフォローは武久に頼むとしよう。

「向上心があるのは認めますが、実力が伴っているか……。まだ広報部で実力ナンバーワンと目されている彼女の方が適性があるのでは？」

「桃野さんのことかな。彼女は確かに仕事は早いんだが、やる気がイマイチなんだよな。常に省エネ運転というか」

向上心のある人間にこそ、機会を与えるべきだと俺は思う。

武久は不満そうな顔をしたものの、俺の意思が揺るがないのを再確認し、あきらめたように肩を落とした。

「それにしても、あなたを避ける女性がいるなんて正直驚きです。これまで追いかけられることはあっても、逃げられたことなどないのでは？」

「俺も予想外の反応で困っているよ」

自分の出自の情報が先行して、異動する先々で異常なまでに歓迎されてきた。

避けられたのは、正直今回が初めて。身の程を知った気分だ。

「とにかく機会を見て話してみる。彼女にとっては決して悪い話じゃないんだ」

「わかりました。とにかく就任に向けて準備を進めてください。来月からこのマーガレット製薬を指揮するのは、翔琉さん、あなたなんですから」