極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚～余命０年の君を、生涯愛し抜く～
武久が念を押して会議室を出ていく。

「随分とプレッシャーをかけてくれるな」

グループ企業合わせて従業員数一万人以上、売上高一兆超えの大企業の経営を、三十一歳で双肩に担えというのだから、酷なことをさらりと言ってのけてくれたものだ。

マーガレット製薬は日本で三指に入る製薬会社だ。中でも難病の患者に向けた希少疾病用医薬品――オーファンドラッグの開発と製造販売に関しては、日本一の規模を誇る。

そもそもこのオーファンドラッグは、患者数が少なく臨床試験も難しいことから、開発は困難を極める。

加えて、開発にかけた期間、費用に見合うだけの利益を得られないことから、多くの製薬会社が二の足を踏んでいるのが現状だ。

マーガレット製薬にとっても、儲けを得るというよりは社会貢献に近い。

しかし、あえてその分野に踏み込むのがマーガレット製薬の強みであり、業界内で重宝されている理由でもある。

なぜ儲けの少ないオーファンドラッグにこだわるのか――その答えは、マーガレット製薬の前身となった祇堂薬品研究所の創設者の意志によるものだ。

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