極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
胸やお腹の疼痛が、症状の重さを物語っていた。難病の随伴症状だ。体内で炎症が起き、水がたまっているのだろう。

息がしにくいのは肺や心臓が圧迫されているから。頭がぼうっとするのは、おそらく高熱のせいだ。

ここまで悪化してしまったら、医師にすべてを任せるしかない。

「教授……お願いがあります」

声が小さすぎてよく聞き取れなかったのか、教授はベッド脇にしゃがんで耳を近づけてきた。

私はざらざらする喉を精一杯広げ、掠れた声を絞り出す。

「翔琉さんには――恋人には、転院先を伝えないで」




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