極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
第十章 今度こそ彼女を救ってみせる
星奈の通院日。付き添うつもりでいたが、ひとりでも大丈夫という彼女に押し切られ会社に向かった。
車を走らせながら彼女を思い、不安を募らせる。
……なにかがあってからでは、遅いんだよな。
約一カ月前、彼女がつけている簡易モニターから異常を知らせる通知が届いた。
そのときは大事には至らなかったが、あのあたりから彼女は具合が悪そうにしている。
とはいえ、嫌がる彼女に無理やり付き添うわけにもいかない。
仕方がないので最終手段に出ることにした。
会社の地下駐車場に車を止めた俺は、携帯端末の履歴からとある人物の番号を探し出しコールする。
「――伏見教授、おはようございます」
白々しく敬称をつけて挨拶すると、受話口からゆったりとした低音が響いてきた。
『おはよう。星奈くんがどうかしたかい?』
話が早くて助かるが、単刀直入すぎるのではないだろうか。
俺からの連絡は、星奈に関することのみとでも言いたげだ。
これでも一応肉親のはずなんだが、と虚しさが湧き上がる。
とはいえ、長い間連絡を絶っていたのは俺の方だ。『教授』などと他人行儀な呼び方をしているのも。