極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~


約一カ月前、休日出勤を余儀なくされた日曜日のことだ。

仕事を終え帰宅しようと車に乗り込んだとき、携帯端末に通知が届いた。

星奈がつけている簡易モニターの異常検知機能だ。脈拍が不安定になっているという。

クリニックに連絡を取ると、すでに本人に確認済みで、大きな問題はなかったと報告を受けた。

しかし嫌な予感は拭えず、急ぎ車を走らせる。

マンションの地下駐車場に到着し、通用口に向かうと、入口の前にひとりの女性が立っていた。

ベージュのワンピースを着たストレートヘアの女性。星奈と似た背格好にまさかと思い近づくと、俺の足音に気づき女性も顔を跳ね上げた。

「星奈!」

なぜこんなところに? 違和感を覚えながら呼びかけると。

女性がニッと笑みを浮かべた。その瞬間、背筋が凍る。

違う。彼女は星奈じゃない。

同じ顔をしているが、表情が違う。まるで星奈の中に別の人格が宿っているかのようだ。

「君は……誰だ?」

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