極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
第二章 異例の大抜擢と、思わせぶりな社長様
カーテンから朝陽が漏れている。時刻は六時半。
目覚ましの鳴る五分前に、私、美守星奈は目を覚ました。
四月一日、新年度の始まりだ。朝の寒さもぐっと和らぎ、過ごしやすい季節になった。
だが季節の変わり目は体調を崩しやすいもの、油断は禁物。
ゆっくりと体を起き上がらせ、具合を確認する。
眩暈なし、動悸なし、だるさなし。体調は万全だ。
「今日も頑張れそう」
清々しい一日が始まる。
とりあえずテレビをつけて天気予報をチェック。今日は一日晴れそうだ。パンプスのチョイスに気を使わなくて済む。
簡単な朝食を終えたあと、私はクローゼットの中からアイボリーのパンツスーツを選び取った。インナーにはブラウンを合わせよう。
皺が寄っていないかを確認。広報たるもの清潔感は必須。
また信頼を得られる格好をしなければならないため、基本はモノトーンやネイビーなど、落ち着いた色でコーディネートする。
一番オーソドックスなのはブラックのスーツなのだが――。
「黒って、患者さんにはあまりいいイメージがないのよね……」