極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚～余命０年の君を、生涯愛し抜く～
その視線が背後にいる伯父に向かう。少しだけ眉が下がり、非難するような顔になった。

「約束を守れなくてすまないね。私も結局は甥っ子に甘いんだ」

そう弁解すると、その場を譲るように病室の外に出ていった。

俺は彼女の顔の横にしゃがみ込む。声が届くよう、彼女の耳に顔を近づけ、まずは一番伝えたかった言葉を口にした。

「星奈。愛してる」

彼女の目が再び大きく見開かれる。

「君が俺から離れようとしたのはわかってる」

俺を思って身を引いてくれたのだろう。解放した――つもりだったのかもしれないが。

「だが俺には、星奈のいない未来はもう考えられないんだ」

いつからそんなことを思うようになったのだろう。

再会したばかりの頃は、元気な姿を見られた喜びと、好奇心が強かった。

普通に憧れ、病と闘っていた少女がどんな大人に育ったのか。今度はなにに憧れ、なにを目指して生きているのだろう。

そんな興味があって、見守っていきたい、できる限り応援したいと考えた。

「いつからか君の隣で、君の見る景色をともに見たいと願っていた」

助けを求められたら手を差し伸べようと思っていた。

< 213 / 267 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop