極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
第十一章 今ここが世界の真ん中で、私は確かに生きている
頭がぼんやりとする中、翔琉さんの声が聞こえた。
『愛してる』『一生そばにいるから』『一緒に生きていこう』――これは私の願望だろうか。
しかし、今にも閉じてしまいそうな重たい瞼の奥に、翔琉さんの切なげな表情が浮かんできて。
『星奈、生きて!』
声がはっきりと聞こえて、あきらめちゃダメだと思った。
翔琉さんを悲しませたくない。ふたりの思い出もなかったことにしたくない。
許されるなら、彼の隣でもう少し息をしていたい。
――一度きりの人生なんだ。欲しいものは手に入れていかないと――
この体を理由に、欲しいものをあきらめるなんて嫌だ。
翔琉さん。あなたの隣で生きることを望んでもいいですか?
彼への想いを強く意識したとき、胸の奥に熱が生まれた。冷えた全身が温められ、体が少しだけ軽くなる。
思えば目標に向かって走り続けているとき、この熱はいつも胸の中にあった。
これはきっと未来に向かうためのエネルギー。情熱だ。
今、私の熱源は翔琉さん自身。
彼とともに歩む未来が私の目標であり、情熱であり、動力源なんだ。それなしには生きられない。
ううん。それさえあれば、生きていられる。