極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
目を開けると、ひときわ白く無機質な天井が見えた。
いつの間にか酸素マスクが外れていて、呼吸が楽になっている。頭もはっきりして、以前より視界が明るく色鮮やかに見えた。
「星奈!」
声とともに母が飛んでくる。
「お母、さん」
喉を使うのが久しぶりで掠れた声しか出ない。だが、なんとか謝罪の言葉を口にできた。
「ごめんなさい」
「謝るのは私の方よ。こんなつらい思いを何度もさせて……」
そう言って涙をにじませる母に、私はゆっくりと首を横に振る。
「今までずっと、看病、大変だったでしょう?」
子どもの頃から心配ばかりかけていた。母の人生の中十五年くらいは、私の看病しかしてなかっただろう。
「なに、言ってるの……」
その通りだったのか一瞬動揺を見せた母だけれど、次の瞬間、毅然とした声で言い放った。
「生きてさえいてくれればいいの」
感極まって言い募る母に、私はぱちりと目を瞬かせる。