極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
翔琉さんが結婚を報告したとき、私がどんな人物かは尋ねなかったそうだ。

息子の判断を信じて、すべてを任せてくれたらしい。日頃から翔琉さんが信頼されている証拠だろう。

「私も君たちの末長い幸せを祈っている。……以上だ。進めてくれ」

そう短く言い置き、教授はうしろに下がった。

翔琉さんは「ありがとうございます」と深く腰を折る。私も彼にならって、ゆっくりと頭を下げた。

祭壇に向き直り、今度こそ宣誓を始める。牧師の問いかけに答え、私たちはそれぞれ誓いを立てた。

「病める時も健やかなる時も、命ある限り夫を愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」

彼を見つめて視線を交わしたあと、正面に向き直り「誓います」と宣誓する。

この先なにがあっても彼への愛は揺るがない。

彼も同じであると信じている。私たちは心の底から愛し合っているのだと。

ふたりの宣誓が終わると、私たちは向き合い指輪を交換した。

プリンセスカットのダイヤモンドを一粒埋め込んだ、シンプルかつ大胆なリングだ。

病室から出られない私のために、翔琉さんがジュエリーデザイナーを呼んでくれた。自分たちでデザインを考え、ふたりだけのリングをオーダーメイドしたのだ。

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