極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
在宅で書類整理だけでも手伝えないか? そうお誘いを受けてからかなり年月が経ってしまったけれど、まだ雇用枠は残っているだろうか。

「慢性的な人手不足だから、星奈ならいつでも復帰できるよ。でも……そうだな、今なら丁度いいタイミングかもしれない。そろそろ体制を大きく変えようと思っていた」

なにか思うところがあったのか、翔琉さんが顎に手を添えて考え込む。

「体制の変更といえば、桃野さんが社長室に異動になったんでしょう?」

「ああ。武久の補佐を頑張ってくれているよ」

広報部一の美女と謳われていた桃野さんは、あれから熱心に仕事に取り組み、社長室への異動願いを出したそうだ。

今年の四月から翔琉さんたちと一緒に働き始めたと聞いている。

もともと要領のいい人で、なんでもそつなくこなす印象があった。

広報だけあってコミュ力が高いし、所作や言葉遣いは美しく、気遣いもできる人だ。頭も回る。人の視線を引きつける華やかさも持っている。やる気まで加われば無敵だろう。

『絶対追い越してやるわ』――桃野さんからの宣戦布告を思い出す。

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