極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
尋ねると、彼は複雑な表情で咳払いをした。言いづらい話でもあるのだろうか。

「確かに星奈の言う通り、未だかつてないくらい数値がよかったそうだ。加えて、症状が悪化してもすぐに処置可能な即効性のある薬が開発できた」

ふと彼の頬がわずかに紅潮していることに気がついた。

もしかして、言いづらそうにしているのは、悪い話なんかではなくて――。

「少しくらいなら、運動してもいいそうだ。その、充分気をつけるように、しっかり休息を取りながらとは念を押されたが」

「運、動……」

きょとんとして目を瞬かせる。言葉通り、スポーツ解禁と言いたいわけじゃないのだろう。教授の言う〝運動〟が意味するものとは。

「っ……!」

思い当たり、咄嗟にうつむいてしまった。

つまり、きっと、たぶん、教授が言おうとしているのは。

翔琉さんと、エッチをしていいってこと?

「……もちろん焦る必要はないと思ってる。ただ、もし体調のいい日があれば――」

「体調、いいよ」

食い気味に答えると、さすがに予想外だったのか彼が目を丸くした。その反応にこちらまで赤面する。

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