極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
だったら、限られたひとときだとしても自由に動く体を与えらえた私が、みんなの分まで頑張らないと。

拳をきゅっと握り力を込める。

「わかりました。私でよければ、お手伝いさせてください」

社長業務のサポート、経営のアドバイス、経験のない仕事に不安を覚える反面、緊張と興奮でドキドキする。

震えはいつの間にか武者震いに変わっていた。

「快諾してもらえて嬉しいよ」

祇堂さんがふっと眼差しを柔らかくする。安堵するようにゆっくりと息を吐いた。

「なにより、美守さんと離れるのは寂しいからね」

突然、甘えるような声が降ってきて、私は「え?」と目を瞬かせる。

「君が十二階の広報部で、俺が十九階の社長室じゃ、この先、なかなか会えなくなるだろう?」

「そう……ですね」

一社員と社長――本来なら関わりを持つことすらなかったはずだ。

私が異動の声をかけてもらえなかったら、その繋がりは完全に断たれていただろう。そう考えると、ふたりの関係は希薄で、奇跡的にも思える。

「もう少し一緒にいたいと思ってたんだ」

ほんのり胸が熱くなり高揚する。こんな自分に価値を見出してもらえたことが嬉しくて。

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