極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「はい、喜んで」

気づけば視線が吸い寄せられていた。魅力的な表情をする人だ。

優しいのに頼もしい。この力強い眼差しは、どこかで見たことがあるような……?

思わずじっと見つめると、彼は「どうかした?」と長い睫毛をぱちりと瞬いた。

「あ、いえ。どこかでお会いしたことがあったかな、と」

口にして、そんなわけがないと自己完結する。彼は俗にいう御曹司で、住む世界が違う。

「すみません、変なことを聞いてしまって」

「いや」

すると彼は唇の前に人差し指を持っていき、いたずらっぽい笑みをこぼした。

彼の纏う柔らかな雰囲気が途端にミステリアスなものに変わり、どきりとする。

「もしかしたら、どこかで会っているかもしれないね」

「え?」

胸がざわりと波立って、まさかという思いが込み上げてくる。

会った記憶はないのに、心のどこかが彼を覚えている気がする。こんな感覚は生まれて初めてだ。

しかし彼は、すぐに人差し指を引っ込め、おどけたように肩を竦めた。

「冗談だよ。気にしないで」

「……ですよね」

やっぱりただの気のせいだったみたいだ。作り笑いで動揺をごまかす。

「美守さん」

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