極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
会議室に座る祇堂さんの耳もとにこっそり囁きかけると、逆に尋ね返された。

「美守さんは大丈夫? ちゃんと休めている?」

「は……私ですか?」

正直、ゆっくり休めていないというのが現状。だが私より何倍も忙しい社長の前で弱音など吐けない。

「もちろんです」

にっこり笑って笑顔で応えると、祇堂さんは武久さんに目配せした。

「武久、視察のあと彼女を直帰させて。夜の会食は俺と武久のふたりで行く」

「お、お待ちください!」

大丈夫だと応えたはずなのに。うろたえると、祇堂さんは自身の目もとをトントンと指さした。

「体は正直だ。せっかくの君の綺麗な顔がお疲れ気味で俺は悲しい」

もしかしてクマがバレた? コンシーラーで隠していたつもりだったのに……。

武久さんはおそらく私に興味はないが、一応こちらを見て口添える。

「同意はしますが。あまり綺麗だのなんだのと外見にまつわることばかり言っていると、セクハラと訴えられますよ」

祇堂さんのポーカーフェイスが歪んだ。

私は慌てて「そんな捉え方はしておりませんよ」とフォローを入れる。

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