極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
『クマがあって酷い顔をしている』というのを優しい言葉で気づかせてくれようとしただけだろう。

セクハラとは思っていないのでご安心を、そう続けようとしたのだが。

「確かに外見だけを誇張するような言い方はよくないよな。俺は美守さんの内面も素敵だと思ってる。もちろん外見も美しいとは思うが……堂々巡りだな」

「……はい?」

「祇堂社長、どんどん墓穴を掘っているので、口を閉じて」

見かねた武久さんが止めに入る。

「気にしておりません。私もお世辞くらいは判別がつきますから」

「いや、お世辞ではないよ! 本当に君は綺麗だ」

「もういいですから、社長。黙ってください、いろいろと駄々洩れです」

結局、会議には武久さんが付き添い、私は社長室で待機を命じられた。

私はデスクに戻りメールをチェックし、スケジューリングを再確認。

重要度の高い案件を隙間時間に埋め込んでいくと、本当に休みのない、かつかつな一日になってしまった。

休息がとれるよう調整するなどと言っておきながら、いっそう詰め込んでしまって心苦しい。

せめてハーブティーでもと、社長が戻ってくるのを待ちながら準備する。

< 43 / 267 >

この作品をシェア

pagetop