極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
部屋に入ってきた武久さんは、祇堂さんの顔を見てひくりと片目を眇めた。

「見るからに顔色がいいとか……効果は栄養ドリンク以上ですね」

ハーブティーの話だろうか? 祇堂さんは苦笑いを浮かべている。

そんなふたりをきょとんと見つめていると、武久さんの神経質な目が今度は私の方を向いた。

「美守さんまで、そんな顔をして……」

「はい?」

「いえ、なんでもありません。切り替えていきましょう」

武久さんがパンパンと手を叩く。

私はどんな顔をしていたのだろう? 気恥ずかしくなって姿勢を正す。

「美守さん。そろそろ東寺銀行の清水専務がご到着する時間です。お迎え、お願いできますか?」

「はい、承知しました!」

来客を出迎え、ここまでお連れするのは私の仕事だ。

ふたりに一礼すると、気分を一新し、張り切って執務室を出た。



その日の夜、私は臨床研究センターの視察を終え直帰した。というか、業務命令で帰らされた。

「最後まで社長のそばにいられなかったのは悔しいけど、社長の判断は正しいわ」

体力ゲージがほぼゼロだ。スーツのまま、バタンとベッドに倒れ込む。

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