極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚～余命０年の君を、生涯愛し抜く～

このまま働き続ければ、いつまた熱や眩暈を起こしていても不思議ではなかった。

精一杯頑張りたい気持ちはあるけれど、倒れては元も子もない。それどころか、周囲に迷惑をかける。

病の件が発覚し、会社にいられなくなるかもしれない。

「倒れる前に、きちんとセーブしなきゃ」

就任直後だから忙しいけれど、二カ月、三カ月と経てば次第に落ち着いてくるだろう。

今はデスクワークをメインにしている社長室のメンバーも、もう少し余裕が出てくれば第三秘書、第四秘書としてサポートに回ってくれると言っていた。

「勉強する時間も取りたいけれど……」

視線の先にある本棚には、秘書業務や経営の本が並んでいる。

異動が決まってから、足りない知識を補うために慌てて揃えた。

「まずは体調を整えるところからよね」

軽く食事をして、洗い物をして、洗濯をして、シャワーを浴びて……そんな段取りを練っている間に、疲れでうとうとしてきた。

ひとり暮らしのため、ひとりでこなさなきゃならない家事も多い。当たり前のことではあるけれど。

「実家暮らしの方が負担は減るけれど、片道一時間半の通勤はつらいのよね……」