極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
実家から会社に通うという選択肢もあったが、電車やバスの通勤ラッシュに揉まれるとかなりの体力を消耗する。

職場の近くに家を借りてひとり暮らしをするのがベストだと判断した。

実際、体力の消耗も抑えられている。その分、家事も増えたが。

逆に実家の近くに就職するという選択肢もあったけれど、どうしてもマーガレット製薬に就職したかった。精一杯夢を追いかけてみると決めたのだ。後悔はしていない。

「お母さんのありがたみぃー……」

呟きながら、いつの間にかベッドに撃沈していた。



なんとか日々をこなし、五月上旬の大型連休がやってきた。

社長室のメンバーは忙しい中も代わる代わる休暇を取り、祇堂さんは私の休暇に重ねてなんとか二連休を確保してくれた。

とにもかくにも、休暇をゲットした私たちは『一泊二日、温泉とほうとう付き慰安旅行』を決行することになった。

「考えてみれば、私、家族旅行以外経験したことないのよね……」

友達と旅行に行った経験すらない。

学校の修学旅行だって行けなかった。当時はほぼ寝たきりだったから……。

赤の他人と、しかも上司であり社長でもある祇堂さんとの旅行。失礼なく過ごせるだろうか。

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